こんにちは、Kellogg class of 2025の西山悠太朗です。卒業を2週間後に控えた今、私は「MBA留学中の起業」、特に「Kellogg MBAでの起業」というテーマでこの記事を書いています。International studentとしてアメリカでInstaEnglishという英語学習アプリを起業した私の個別具体的な経験と学びを書き下していくので、未来のKellogg生の中で起業に挑戦しようと思う人の道標になれば幸いです。

とりあえず起業志望の留学生全員に役立ちそうなポイント

  • アメリカで本格的に起業を志すなら、事業の手応えを感じ始めたらすぐにStripe Atlasを使ってDelawareにC-Corpを設立しましょう。これは、法的な責任が個人に及ばないようにするためであり、多くのピッチコンペティションで法人格が必須となるためです。
  • 学生ビザの場合、CEOはアメリカ人にお願いし、自身は株主として参加します。
  • 1年目は起業関連クラスに参加、クラスプロジェクトとしてビジネスを磨いていきます。
  • 2年目の夏から卒業まではCPTを使ってpart-time internができるようになります。毎学期CPTを更新して、卒業まで働きます。
  • 卒業後1年はOPT、2-3年目はOPT-STEM extensionを使って働き続けられます。その間にH1BやO1、E2といったビザへ移行するのが一般的です。
  • 学生という限られた世界だと、野良の戦いよりも有利に立ち回れるシーンは多々あります。しかし、学生スタートアップでも成功しているものはたくさんあるので、その中で勝っていくのは当然簡単ではありません。学生スタートアップ業界はWinner takes all. 勝つチームがずっと勝つ。そのため、有意義な機会を得たいならAll Inする覚悟が重要だと強く感じています。
  • InstaEnglishはNorthwestern Universityの言語学者たちと一緒に作り上げたスピーキング特化の英語学習アプリで、10ヶ月で日常会話レベルの流暢さを達成することを目指します!「英語は読めるけど話せない…」という悩みを抱える方に特におすすめです!もう少し詳しく知りたい方はこちらのpitch videoもご覧ください!

さて、ここからは私がどのようにこのKelloggの2年間を過ごしたのか、イメージをつけやすいように時系列で関連するイベントを書き下していきます。

1年目9-12月:1871でin-semester internと起業アイディア探し

KelloggにはIndependent Studyという特別なクラスがあり、それを通じて他の会社でin-semester internができるようになっています。学生ビザだと一年目はCPTを発行できず働けないのですが、Independent studyはあくまで授業という立ち位置なので、学生ビザでも一年目から職業体験ができます。起業するのであれば他社でインターンする暇は基本的にないのですが、私はシカゴ最大のStartup incubatorである1871にData engineerとして1学期間インターンしました。目的は1871とのコネクション構築、特にCEOでHBS卒業生のBetsy Zieglerとの関係を築くことでした。そのために自分の既にあるスキルを最大限に発揮できるData engineerという職種を選んで、とにかく名前を覚えてもらうために成果を残すことだけを考えて働きました。具体的には1学期間で、マネージャーが社内データを一覧できるWebダッシュボードを構築しました。

その間、同時並行で起業のアイディアを模索。アメリカ人に勝つために日本人という自分の出自を生かして勝負できるものというのを基本的な軸として設定していて、始めは抹茶ブランドの立ち上げを考えていました。父親の仕事の関係上、幼少期から抹茶には親しんでいて、茶道も習っていたという自分の個性を活かせるかと思い、抹茶の卸契約も済ませてアメリカにやってきました。しかし、他人が日本で作った抹茶をアメリカで売るだけだと、自分のプロダクトの優位性をどうしても出せないことに悩んで、結局すぐにピボット。

次に目先で自分自身が苦しんでいた英語スピーキング力の課題に着眼しました。グローバル化のおかげで言語学習マーケットが成長市場であること、LLMが市場全体を大きく変革していっていること、留学生として自分の個性を活かせること、ソフトウェアアプリとして自分たちのプロダクト自体に優位性を持たせられる可能性があったことから、この市場に一気にフォーカスを絞りました。思い立った翌日にMMM class of ’25のThéryとEvan、MBAi class of ’24のかすみさんを誘って、InstaEnglishの構想を練り始めました。

1年目1-3月:New Venture Development

Kelloggで起業を目指す学生はほぼ全員New Venture Seriesを受講していきます。New Venture Discoveryはideation、New Venture DevelopmentとNew Venture Launchは自分たちのチーム・アイディアでビジネスを形にしていきます。私はInstaEnglishのアイディアが既にあったので、Discoveryはスキップして、Developmentから参加しました。

*注意点として、Developement/Launchは事前選考に合格する必要があり、Developmentはある程度のトラクション(Revenueではなくカスタマーインタビュー等で十分)が必要で、LaunchはDevelopment参加を前提に実績を積み重ねたチームが参加できます。

授業開始後すぐにiOSアプリを開発・リリースして(人生初のiOSアプリ開発でしたがChatGPTが助けてくれました)、2月からマーケティングを開始、数字を作りにいきました。

New Venture Developmentの講師はListen VenturesというシカゴVCのパートナーをしているRick Desaiでした。

左から私、Rick、かすみさん、Evan

Lean Startup等、基本的な概念を教えてもらいつつ、クラスで付与される$1,000を使ってビジネスの進捗を叩き出して、毎週実行した施策と結果、来週のプランを発表して、周りからフィードバックを受けるというスタイルの授業です。加えて、毎回FounderやVenture capitalist等の外部スピーカーを呼んでくれて、成功と失敗の生々しい話を聞きました。

1年目2月:Kellogg Venture Challenge 優勝!

Kellogg内で毎年2月に開催されるスタートアップコンペティションがKellogg Venture Challengeです。選考に通った8チームがピッチし、優勝者には$5,000が贈られます。

選考に通った後、New Venture Developmentの講師であるRickと個別に繰り返し練習しました。Rickが自分のクラスからどうしても優勝させたいという個人的な欲求を有難いことに持ってくれて、スライドからスクリプトまで手取り足取り助けてもらいました。

加えて当時、受けていたData visualizationというクラスを教えているスライド作りのプロであるProfessor Steven L. Franconeriからもたくさんの助言を受けました。彼のPh.D向けのクラスにわざわざ呼んでくれて、みんなの前でピッチ、Ph.Dの学生20人ほどに丸々1時間協力してもらって、私たちのスライドを直接修正、フィードバックを受け続けるという濃密な時間も過ごしました。

チームの頑張りと周りのサポートのお陰で結果は見事1位!

左からYutaka (1月からチームに加わってくれたMMM同級生), Evan, Théry, Yutaro, Troy Henikoff

ここで重要なのが審査員の一人であったシカゴのVC Math Venture PartnersのManaging DirectorであるTroy Henikoffとの初対面を果たしたこと。勝手ながらTroyはChicago Startup Ecosystemの首領だと思っており、SurePayrollという給与管理システムを創業・売却したシリアルアントレプレナーです。アメリカで最も成功している二つのアクセラレータプログラムには、YCombinatorとTechstarsの二つがあり、Techstarsのシカゴオフィスの創業者でもあります。

Troyはピッチコンペティション中、一人数字に突っ込みまくり、観客全員が戦慄していたのを未だに覚えています。(Math Ventureというfundの名前からも数字に対する拘りが伺えます。)そんな彼がアプリをローンチしてたった2週間ではあったものの、課金してアプリを使ってくれているお客様を既に獲得できていた結果を認めてくれました。イベント後、帰途につくTroyをチーム全員で追いかけて、InstaEnglishの名前を再度叩き込みました。

1年目3-6月:New Venture Launch

New Ventureシリーズの最終回、Launchに参加します。講師はTroy。2月のピッチコンペティションでInstaEnglishの名前を叩き込んだことが功を奏して、クラスの参加権を勝ち取ります。

シリーズ最終回というだけあって、各チームには$5,000が付与されます。それを元手にしてビジネスを発展させていきます。Troyは数字お化けなので、毎週KPIを発表して、何がうまくいっているのか、うまくいっていないのか、来週まで何をするのかを発表して、ひたすら突っ込まれ続けます。「3ヶ月後のことを話さなくていい。明日KPIを動かすために今何ができるんだ?」

Make a promise, keep a promise.

Troy Henikoff

Troyが大切にする人との信頼関係構築の基本です。チーム全員で毎週Troyとの約束を厳守して突き進み続けます。

1年目4月:Global Engagement Summit

Northwestern Universityが毎年、世界中からSocial Impactの領域で起業している若者約20人を招待して、Global Engagement Summitという3日間に渡るプログラムを開催しています。何千人もの応募者から選ばれたアフリカ、アジア、ヨーロッパと世界各地を代表する若者が集う中、教育業界で奮闘する私もNorthwestern Universityの学生という特権を駆使して、仲間に加えてもらいました。ノーベル平和賞受賞者がわざわざスピーカーに来てくれるようなプログラムで、世界各国が抱える根深い問題に人生をかけて立ち向かうメンバーと繋がりを持てたことに感謝しています。

Global Engagement Summit 2024 Delegates

ちなみにこの運営チームにいたのがUndergradのHenryで、最終日のピッチでInstaEnglishのことをとても気に入ってくれて、そのままintern生として働いてもらうことになりました。予期せぬご縁に感謝です。

1年目3-6月:1871 AI Innovation Lab

以前、学期中インターンをしていた1871で培った繋がりを駆使して、AI分野に特化したアクセラレータプログラムAI Innovation Labに滑り込みました。20チームほどが参加して、レクチャーやピッチコーチングを受けたり、Chicago Tech Weekというシカゴで行われるスタートアップイベントでピッチする機会を得たりしました。

左からHenry, Yutaka, Evan, Hiko (6月からチームに加入してくれたUChicago Booth生), 私

1年目4月:San Francisco AI Trek

Kelloggでは選考に通過すれば無料で参加できるプチ旅行(Trek)というものがいくつかあり、その中の一つがMath Venture PartnersのDirectorであるTroyとMark Achler率いるSan Francisco AI trekです。

この写真はOpenAI本社を訪れたときのもので、GTM担当者にInstaEnglishをその場でピッチして、$5,000のOpenAI API creditsを勝ち取りました。

2年目6-8月:The Garage JumpStart Accelerator Program

Northwestern UniversityにはスタートアップインキュベータとしてThe Garageという施設があり、夏の間、JumpStartというアクセラレータプログラムが運営されます。こちらも選考があるものの、無事通過すれば、The Garageから$10,000が支給されます。プログラムとしては毎朝1時間くらいプログラム(レクチャーだったりゲストスピーカーだったり)に参加して、後はコーワーキングスペースでひたすら働き続けます。

また、The Garageに加えて、KelloggからもSummer Startup Stipendという補助金制度があって、選考に通れば、追加で$10,000が支給されます。

左からEvan, Hiko, Yutaka, 私。各チーム、デスクとディスプレイを割り当てられます。

最終日のDemo Dayは残念ながら勝てずに終わってしまいました。参加チームの中では圧倒的に数字を叩き出していたのに、3位にすら入賞できなかった事実に、正直かなり落ち込みました。

「英語学習サービスの意義をアメリカ人に伝えることは難しい」という言い訳をする一方で、客観的に考えると、このときは日本人向けでしか展開していなかったので、「日本人向けのニッチなビジネス」にしか映らなかったからというのが正しい解釈だったのでしょう。このときから日本外への展開を少し真面目に考え始めて、韓国人留学生との交流を開始しました。

いずれにせよ、この夏は一つのことに没頭して、みんなで働けたのは本当に幸せでした。最高の青春。一番の夏の思い出はJumpstartの参加者全員でLake Michiganで1日遊んだこと。

これはみんなでヨットに乗ったときの写真。

あと完全に余談ですが、8/5に第四子が生まれました。Garageのみんなも色紙を書いてくれてお祝いしてくれました!

シカゴで第二のおばあちゃんをしてくれているSandraとMy sweet baby

2年目9-6月:Zell Fellows program

Kellogg2年生になると、Zell Fellows Programという起業家向けの一年間に渡るプログラムに参加できます。選考を経て、Venture Track10人、Entrepreneurship through acquisition track10人、合計20人が参加します。

ZellはWisconsinでの1泊2日の合宿から始まります。

プログラムは毎週水曜日に開催され、基本的にはNew Venture Track10人での活動となります。お勉強的なレクチャーもあれば、スタートアップ訪問、さらにはそれぞれのビジネスの課題を共有、みんなで打開策を考えたりと多岐に渡ります。現役VC2人がprogramのDirectorに就いていて、基本的には彼女たちがまとめ役になります。

加えて、ZellのDirectorたちが個別のニーズに合わせてPersonal advisorsを3人ずつ、アサインしてくれます。私には次の強力なadvisorsをつけてくれました。

  • Jon Wettersten: IDEOの前Executive Design Director。
  • Davide Agnelli: IDEOのExecutive Director、IDEO日本のVC armであるD4Vの創業者。
  • Shuntaro Kanai: Kellogg MBA class of 2023の大先輩!PE firmのDirector。

toCサービスとしてのUI/UX設計、Value Proposition、そしてメッセージングに至るまで、かなり微に入り細に入り、多くのアドバイスをもらいました。

2年目9-6月:Ballard Spahr Accelerator program

Ballard Spahrというlaw firmが学生スタートアップ向けにアクセラレータプログラムBaseというものを運営していて、毎年20チームほどのスタートアップが全米から選ばれます。書類選考→Zoomインタビューを経て、私たちも有り難く参加させてもらいました。プログラムの核として、一年間で弁護士とのコンサルテーションに使える$10,000分のcreditが付与されます。私はプライバシーポリシーや利用規約の作成に始まり、特許戦略、H1Bビザ申請等、幅広く手伝ってもらいました。

それらに加えて、月に一回、Zoom上で全員で集まってレクチャーを受けたり、ゲストスピーカーの話を聞いたりと一般的なアクセラレータプログラムで実施するような活動に参加しました。

2年目10月:Kellogg PE/VC conference pitch competition 3位

KelloggのPE/VCクラブが在校生の起業家向けにピッチコンペティションを開催してくれました。SemifinalsはPE/VCを運営する学生の前でピッチ、Finalsは学校内外の権威ある審査員に対してピッチしました。結果は惜しくも3位。夏のJumpStartから引き続き、参加チームの中で一番数字を叩き出しているのに評価されないことに対して苛立ちを抱え続けます。

「ピッチで勝つためにInstaEnglishを作っているわけではない。僕たちはInstaEnglishの価値を深く信じられているし、お客様により大きな価値を届けることにフォーカスしよう。」

チーム全員が繰り返しこの言葉を繰り返していた時期でもあります。

2年目1月:Startup Spring@Chicago Drive Capital 優勝!

シカゴにあるDrive CapitalというVCのオフィスで開催されたピッチコンペティションにHikoと一緒に参加、一年前のKellogg Venture Challengeに引き続き、ようやく2回目の優勝を果たします。在シカゴの台湾商工会議所がイベント運営していたこともあり、アジア系のオーディエンスが多く、ピッチ後は多くの人が興味を持って「一緒に働きたい」と言ってきてくれたことを今でも覚えています。

これまでピッチでアメリカ人に言語学習の難しさ、奥深さを伝えることに苦労していたこともあったので、このコンペでの優勝は再びInstaEnglishに自信を持てるようになったきっかけにもなりました。

2年目2月:Kellogg Venture Challenge 史上初、2年連続優勝!

去年に引き続き、再びKelloggのピッチコンペティションに参加しました。去年は初めてのピッチということもあり、恥ずかしながらガチガチに緊張していた(メンバーにその写真を面白がって激写されるくらい緊張していた)のですが、前月の優勝が自信となって、この時は落ち着いてピッチ、Q&Aを捌けていたと思います。自分の知る限り、2年連続Kellogg Venture Challengeを優勝したのは史上初のはず!

2年目2月:TigerLaunch@NY

アメリカで行われる学生スタートアップコンペティションで最大規模を誇る、プリンストン大学が主催するTigerLaunchに参加しました。僕らは書類選考の後、NYのコロンビア大学で行われるFinalsに呼んでもらって、Hikoと一緒に旅行しました。フライトもホテルも全て主催者が費用負担・予約をしてくれました。Hikoと一緒にウォール・ストリートに行ったり、World Trade Center跡地のミュージアムに行ったりと、観光を楽しみつつ、コンペティションに参加。しかし、残念ながら3位にすら入賞できずに負けて帰ります。一位だったチームが社会的意義、数字の両方でダブルパンチしてくるプレゼンに圧倒され、完敗を喫します。

会場となったコロンビア大学の前で一枚。

2年目3月:SXSW@Texas

2月のNYの気候とは打って変わって、既に猛暑のTexas Austinで毎年開かれるSXSWに参戦。学生向けスタートアップコンペティションに登壇するもこちらも見事完敗。TigerLaunchでもSXSWでも同じスタートアップに負けて、”Winner takes all”を再度実感します。

一方で、「もっとグローバルにインパクトを与えられる世界観を描きたい!」という思いがかなり強くなった2連敗でもありました。これをきっかけに韓国版のリリースに本腰を入れて、一気に開発を進め始めます。

地元の歴史博物館を訪れて、歴史に詳しいHikoの解説を聴きながら、Texas人が持つTexas愛の由来を学びました。

2年目3月:Forge 優勝!

University of Illinois Urbana-Champaignが毎年シカゴで開催するピッチコンペティションForgeにEvanと共に参加しました。2日間に渡るプログラムで、1日目は講義を受けた後、先輩起業家たちと複数回の1on1が設定され、個別具体的なアドバイスを受けました。2日目はsemifinals&finalsと一日中ピッチコンペティションが開催されました。

韓国のリリースが間近であること、グローバル展開が進んでいることを強調したことが功を奏して、結果は見事優勝!

2年目4-6月:New Venture Launchに再び参加

International studentsは学生ビザを維持するために各学期3単位を取得する必要があるのですが、2年目の冬学期までで卒業に必要な単位を取り終えていたので、春学期をいかにしてInstaEnglishにall inするかを考えました。これ以上学校に行かないから、もう卒業扱いにしてくれとDeanも交えて何回も交渉し続けましたが、残念ながら受け入れられず。

ただKellogg2年間の最終学期はReduced course laborといって、卒業単位が揃うことを前提に1単位だけの参加でも学生ビザを維持できるという特例があります。そこで次善の手段として、Troyに「New Venture Launchをもう一回受けさせてください」と直談判。

Troy「だめだ。その代わり、TAとして雇ってあげるよ。」

私「いやだ。InstaEnglishと関係のない授業は取りたくない。韓国版を新規ローンチするから、面倒を見てほしい。」

(僕のあまりにしつこい懇願に心が折れたのか)TroyにとってもNew Venture Launchに同じチームを2回受け入れるという史上初の実験がスタートしました。結果としてTroyがどう評価してくれているかは分かりませんが、私たちとしてはこの授業を再度取れたことが非常に有意義でした。新しく韓国版をリリースするということで、二人の韓国人留学生、Kellogg MBA1年生のJinwonとundergradのHaileeを新しくinternとして迎え入れたこともあり、毎週一緒に授業を取って、授業後に週次ミーティングを実施、仕事を進めていくというサイクルが上手くハマりました。

あともう一人、人の十倍くらいの覇気を纏っているMert Iseriが講師として指導してくれました。彼はヘルスケア領域で起業、SC Johnsonに売却後、今は別の新しいビジネスを起業しているシリアルアントレプレナーです。現実問題として、学生スタートアップが上手く立ち上がることが多くない中、僕らが一年間でここまで成長してきたという事実をとても尊敬してくれて、とても親身に相談に乗ってくれました。Mertは「卒業後もずっと傍にいるよ」とずっと声を掛けてくれる数少ないメンターの一人となりました。

左からMert, Jinwon, 私, Troy. このクラスが私にとってKelloggでの最後のクラスでした。

2年目4月:1871 Emerging Tech Summit

1871との三回目の関わりとして、二日間に渡るEmerging Tech Summitに招待してもらいました。イベントでは自分たちのブースを用意して、参加者にひたすらInstaEnglishの宣伝をし続けました。

Haileeと私でブースを構えて、来場者にひたすら宣伝。

2年目5月 Ballard Spahr Pitch Competition 準優勝!

参加している法律事務所Ballard Spahrのアクセラレータがプログラムの締めくくりに際して、ピッチコンペティションを開催してくれました。こちらは見事2位を獲得!卒業後も利用できる追加のcreditを獲得しました。

2年目5月VentureCat 準優勝!

Northwestern Universityは毎年在校生向けにピッチコンペティション「VentureCat」を開催しており、優勝者は$100Kがもらえるという、非常に大きなイベントになっています。書類選考の後、Semifinalistsが選出され、その後1ヶ月間、ピッチのコーチングを受けた後、5月末にSemifinals&Finalsが同日開催されます。

実は一年生の4月にVentureCatに応募しているのですが、Semifinalistにすら選ばれなかった過去があります。Kellogg Venture Challengeで優勝して、数字も出しているのに選ばれなかったことにとても落胆しましたが、「きっと2年目に大きく成長したInstaEnglishで優勝するための布石だ!」と思って、ポジティブに心の整理をしたのを今でも覚えています。一年越しのVentureCatは、私にとって本当の意味で自分のMBA人生に通知表が渡される卒業式とも言えるイベントでした。

今まで1年間、ほとんど同じスライドを使ってピッチをしていました。「ピッチコンペティションはプロダクトの価値に寄与しないから、極力時間を掛けない」と考えていたからです。しかし、今回ばかりは$100Kとかなり大きな金額で、自分のMBA人生の集大成、そして何よりチームにInstaEnglishをやっていて良かったと最後に思ってほしいという思いがかなり強く、本気でピッチを見直そうと一から新しく作り直すことにしました。今までのピッチでも複数回の優勝経験がある中、全く新しいピッチに変更するのはリスクが大きかったですが、「このリスクを取らないと勝ちきれない」と感じていたのが正直なところです。

新しいピッチスライドが完成したら、あとは練習あるのみ。チームメンバーはもちろん、前年のKellogg Venture Challengeでお世話になったProfessor Steven L. Franconeri, Troy, Mert, Zell Fellowsのdirectors&personal advisors&同期メンバーとありとあらゆる人から個別フィードバックを受け続けて、ピッチを洗練させていきました。みんなから「これまでで最高のピッチだと思う」という評価を心の支えとして本番に臨みました。

SemifinalsはtoCカテゴリの中で一位通過し、Finalsに無事進出。各カテゴリの一位が集うFinalsでは見事2位に入賞して、幕を閉じました。最後の最後まで優勝する自信があったので、2位という結果は嬉しさ半分、悔しさ半分というのが正直な感想です。それでもイベント後、たくさんの人が「あなたのピッチが一番感動した。InstaEnglishの価値に深く共感した。」と声を掛けてきてくれたこと、そしてチームメンバー全員が口を揃えて「InstaEnglishのピッチが最高だったと心から思う」と言ってくれたことが最大の賛美でした。

余談ですが、Finalsの審査員の一人が1871のCEOであるBetzyでした(全くの偶然)。ピッチ部屋に入るなり、Betzyが声をかけてくれて、Q&A中も審査員というよりもメンターとして優しく寄り添ってくれました。結果を残せたのもBetzyのサポートによるところが大きかったと思っています。渡米直後、真っ先に1871でインターンして、本当によかった。

VentureCatのpitchの様子はこちらのYouTubeから!

最後に

僕がKelloggに来て、本当によかったと思える一番の理由がこれまで一緒にInstaEnglishを作り上げてくれたメンバーと出会えたこと。

みんな、ありがとう。

左からYutaka, Théry, Evan, 私, Hailee, Jinwon

Appendix:Kellogg MBA2年間で獲得した起業資金一覧

Cash

MonthSourceAmount
1年目1月New Venture Development$1,000
1年目2月Kellogg Venture Challenge$5,000
1年目3月New Venture Launch$5,000
2年目6月The Garage JumpStart$10,000
2年目6月Kellogg Summer Startup Stipend$10,000
2年目9月Zell Fellows Program$20,000
2年目10月Kellogg PE/VC conference$2,000
2年目1月Startup Spring@Drive Capital$1,000
2年目2月Kellogg Venture Challenge$5,000
2年目3月Forge$500
2年目3月New Venture Launch$5,000
2年目5月VentureCat$50,000
Cash Total$114,500

Credits

MonthSourceAmount
1年目3月1871 Microsoft$25,000
1年目3月1871 AWS$10,000
1年目3月1871 Stripe Atlas$250
1年目4月San Francisco Trek OpenAI$5,000
2年目9月Ballard Spahr Accelerator (Legal)$10,000
2年目10月Kellogg PE/VC conference (Legal)$3,000
2年目6月Ballard Spahr pitch competition (Accounting/Legal)$3,000
Credits Total$56,250

合計$170,750でした!全てnon-dilutive fundingです!

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