外資系金融・コンサル出身者の受験体験記 Class of 2007 – 2013

Case2:外資系投資銀行勤務の男性

プロフィール

コース MBA(2Y)
性別 男性
学歴 東京大学 法学部
職歴 金融5年(投資銀行3年、銀行2年)
職務概要 外資系銀行に2年間勤めた後、外資系投資銀行の投資銀行部門に転職しました。株や債券の引受とM&Aの案件を一通り経験した後、直近2年はM&Aグループにてアドバイザリー業務に従事しました。アソシエイトに昇進したタイミングで留学しています。

Why MBA

投資銀行で働く中で、純粋にフィナンシャルな仕事ではなく、業界構造を分析し企業戦略を考えるといったストラテジーの要素に興味を感じるようになったことです。M&Aはストラテジーの要素を含むもので、とても面白い経験もしましたが、より本格的に業界やビジネス全般に関する力を養いたいと思いました。そして、自分が人生の中で本当に何を達成したいのかということについて、M&Aの分野のみならず、幅広い選択肢の中でじっくりと再考してみたいと思いました。
次に、グローバルなビジネス環境におけるソフトスキル(リーダーシップ、コミュニケーション能力、海外の市場・文化や人に対する洞察力)の向上というのも大きな理由です。投資銀行で成功する上司をみても、重要な仕事をするほど、有形の知識やスキルに加えて人間力が重要になってくると考えるようになりました。それも、特にグローバルなビジネスオポチュニティへの対応能力という点は、これからの日本人にとってますます重要になってくると思います。
ゴールドマンサックスは、有名な「BRICsレポート」において、2050年頃の各国の経済規模の予想を発表しましたが、それによると私たちが引退する頃には中国やインドが日本の経済規模の4,5倍の規模にまで成長します。国際性豊かなビジネススクールで学ぶことにより、そのような流れへの理解を深め、また友好的なネットワークを広げたいと思いました。

Why Kellogg

最初に、「Why not a finance school?」ということをよく聞かれるのでお答えすると(そもそもKelloggはFinanceのカリキュラムでトップ5に数えられる学校ですが)、金融の知識だけを求めるのではMBAは必要ないというのが投資銀行での大勢の意見だと思います。
次に、M&Aの現場において重要な企業価値評価においても、最も大きな差別化要因は対象企業の将来キャッシュフローを予測する力が重要で、それはファイナンスの授業では教えてくれません。DCFやLBOモデル(更にはデリバティブ価値計算など)は投資銀行ではある程度単純化(システム化)されていますし、その応用についても投資銀行では当然に実に付けるスキルであり、本来差別化にはなりにくいものです。
最後に、ファイナンスのキャリアにおいても「どうやってビジネスを獲るか」、「強いチームを作るか」ということが長期的に重要な能力が重視されますが、その点ではKelloggの方がはるかによいカリキュラムと環境を用意してくれていると思います。

そのうえで、Why Kellogg?ということですが、第一に、カリキュラムにおいて、Kelloggは他校と大きく差別化をしています。Kelloggは、
(1)クラスの種類も豊富で、マーケティングのみならず、多くの分野で最高レベルのカリキュラムを用意しています。
さらに、
(2)Experiential Learningをカリキュラムの柱に据えており、多くの授業でリアルなビジネスに触れることができるように工夫されています。
企業に対して実際にコンサルティング等のプロジェクトを行うものとして、各種のLab系授業があります。例えばManagement Lab(LEAP)は米国企業に対する戦略コンサルティング、その海外現地企業向けバージョンがGlobal LabBuyout Labです。更にVenture Capital Lab、 Buyout Labなども新たに始まります。
他にも、Marketing Research、Advanced Topics in Marketingなどのクラスにも企業へのコンサルティングが導入されていますし、Asset Management PracticumではKelloggの基金を使って資産運用を経験できます。夏休みインターンとして、PEやベンチャー企業で働くプログラムも用意されています(PEIP, KEIP)。このようなExperiential Learningのクラスがほとんどないトップスクールも少なくないところ、Kelloggでは座学に終わらず実際に海外企業に対するプロジェクト経験を積む斬新的なプロジェクトが選択できます。
(3)グローバルなビジネスオポチュニティへの視野を広げるということでは、KelloggはGlobal Leaderの養成を教育の最重要目標としており、国際性豊かな学生が選ばれて集まってきています。
私は特に中国にフォーカスをおいて勉強をしています。具体的な勉強のリソースとしては、学部の中国語の授業、GIM Chinaの授業と中国におけるフィールドリサーチ、北京大学への交換留学に挑戦しています。
(4)このような多くの斬新的なカリキュラムは、学生の発案に始まっています。また、GIMでは学生がクラスを運営しています。
総じてKelloggでは、他校と比べて、学生組織の活動が活発で、学校側も学生を最大限尊重するため、学生が学校運営に対して大きな影響力を持っていると聞いています。このような校風は他校が容易に真似することができないKelloggの競争力につながっています。

第二に、学部時代に1年間米国留学した経験から、日本人がビジネススクールに留学をするうえで本当に財産になるのは、ソフトスキルの向上という面が大きい、そして、その能力を磨くためには、チームワークを学校の関係者全員が重視し誇りにし、グループワークを重んじるプログラムが極めて充実している学校にゆくのがよいと考えました。この点で、Kelloggは断然No.1の学校です。全ての授業にグループワークがあり、グループプロジェクトだけで評価が決まる授業も少なくありません。多種多様なバックグラウンドを持つ学生との議論と協働作業を重ねてゆくなかで、語学力、コミュニケーション能力、チームワークを磨き、交友関係を深めることができます。
実際にKelloggで生活を始めて、言葉で苦戦することも多いですが、これ以上学生が親切で仲のよい学校、グループワークを重視する環境はないという確信があり、Kelloggを選んでよかったという気持ちは変わりません。

学校のレベル感としても、スクールランキングとして最も信頼性の高いと言われているBusinessWeekでは、ランキングが始まった1988年以来、一度も3位圏外に外れたことがなく、1位になった回数も最多です(2007年現在)。EMBAもランキング創設以来、常に1位を維持しています。(なお、卒業生の給与・報酬額に重点を置いているWall Street Journal等のランキングは、金融業界に就職する学生の割合が高い学校が有利という点であまり納得感がなく、参考にしませんでした。)

また、ビジネススクールの忙しい環境のなか、英語力も不十分で海外生活も不慣れな妻が安心して暮らせる環境としてエバンストンはとても価値が大きいものです。
シカゴの中心部から車で40分という利便性、湖に面した美しい街並み、日本の食材も手に入れられる環境、近隣に裕福な家庭が多いこともありとても安全、そして古きよきアメリカ人気質を感じる中西部の親切な人々がとても気に入っています。
そのようなエバンストンという小さな大学の街の中で、学生同士の濃密な人間関係を築きながらも、週末には気軽に全米第三の大都市シカゴを満喫することができます。さらにKelloggが素晴らしいのは、KWESTを始めとして、妻も含めて学生とそのパートナーの仲間の輪に入るチャンスに恵まれていることです。KWESTとは、入学前の1週間に初めて会う20人程度の学生と交友を深めるために行くアドベンチャー旅行のことです(30以上のプログラムがあり、世界各地の行きたい場所が選べます。)私も妻と一緒に参加し、メキシコで楽しい思い出と仲間を作ることができました。それ以来夫婦でKWESTの仲間と交流を続けています。

以上の点から、私にとってKelloggは最初から第一志望であり、今もこの学校に来てよかったと感じながら学生生活を送っています。

受験スケジュール

投資銀行の容赦ない激務の中での受験でした。平日は深夜2時や3時まで働き、土日もどちらかの日は出社することが当たり前という環境です。仕事が特に急がしい時には、1~2ヶ月間全く何もできないときもありました。そこで戦略として、
(1)早期からの準備(出願2年前から一般的な英語の勉強を強化)
(2)集中的な勉強(冬と夏の休暇を受験勉強に費やしました)
(3)出願校の絞込んでの第一次ラウンド受験
(4)「時間を買う」を考えました。

受験1~2年前 一般的な英語の勉強と学校の研究
2005年9月~10月 TOEFL開始、終了
2005年10月~1月 GMAT対策(予備校)
2006年3月 GMAT終了
2006年7月 エッセイ開始
2006年9月 Kelloggに出願
2006年12月 Kelloggから合格通知、受験活動終了

TOEFL

実際にMBA受験を考えてからのTOEFL対策は基本的には問題集を繰り返すことでした。(英作文の対策だけは、予備校のノウハウがとても役に立ちました。)英語の基礎力があればそれで十分なのだと思いますが、そこで点数が上がらなければ、他の基本教材も加え、時間をかけて英語の基礎力を磨いてゆくことになるのだと思います。

GMAT

Verbalがキーですが、まずは一通り予備校で方法論を学びました。その後、個人的には「CRは問題の選択肢を全て読まず、一つ正解だと思う選択肢があればそれを選んで次に進む」という方法が効率的、効果的だと発見し、そのため解答スピードが向上し、点数も向上しています。それ以外のことは、極めて一般的な勉強方法(予備校の授業を一通り受けて、問題集をたくさん解く)ということを行い、2度の受験で終了しました。

エッセイ

上記のように時間がない環境での受験ということで、早め早めに準備を進め、エッセイ課題が発表される1ヶ月前から課題を想定してエッセイを書き始めました。その時からカウンセラーを多用しましたが、とても効果的でした。カウンセラーは米国文化の中での自己アピールの仕方やエッセイ問題の出題意図などをよく理解しており、基本的には全面的に信頼してアドバイスを受けることで、エッセイが仕上がりました。

インタビュー

個人的には最もチャレンジング且つ不確定要素が大きかったため、予備校の模擬インタビューを多用しました。ただし、実際に効果的なのは想定質問に対する想定回答を一通り準備してある程度記憶してしまうことだと思います。当然、Kelloggの理念と校風、カリキュラムといった研究は十分に行ってください。あとは、自信をもって迫力のある受け答えをするということだと思います。自分がその学校に受かる資格があるということを信じずに、他人を信じさせることは難しいと考えてください。

Kellogg受験に際して

Kelloggはチームワークを尊重する人間、また、熱い人間、社交的な人間が好かれる学校だと感じます。自分の考えや性格がその校風に合うのであれば、その点を具体的な経験と自分の意見でうまく表現してください。また、Kelloggは最終的な教育目標をGlobal Leaderの育成としています。そのため、国際的な経験があり、アピールできるのであれば、それも一つのプラスになるように思います(なくとも合格する人はたくさんいます)。

受験生へのメッセージ

多大な時間、お金を費やし、余分なストレスを抱えてまで留学する以上、それ相応の意識と努力をもって受験、及びその後の学校生活に臨んでください。投資銀行でもそうですが、MBAは必ずしも必要ということは全くなく、実務経験を重ねることの方が重要だという考えも多くの人にとって正解なのだと思います。確かに、知識という面だけを求めるのであれば、2年間キャリアをストップし、2,000万円程度にも上る出費をしてまでMBAを取得することが多くの人にとって最適な解かは疑わしいかもしれません。

それでも留学したい場合、避けてほしいなと思うのは、最低限の英語力だけで留学し、ブランドで学校を選び、リーダーシップ経験などをあまり積まずに知識偏重の勉強をすることです。日本人にはありがちですが、本来好ましくないと思います。大学院留学一般的に、英語があまり上達せずネイティブスピーカーと人間関係をあまり築けない日本人の話はよく耳にします。

まず、英語は留学せずとも必要なスキルですので、受験の随分前から(或いは合格後出国まで)大きな投資をすることをお奨めします。次に、学校選びは知識体系を軸にした選択もある程度重要ですが、例えば、投資銀行に就職したいからという理由だけでファイナンススクールを短絡的に選ぶようなことはお奨めしません。(実際に投資銀行出身者としてみると、その必要もないように思います。)むしろ、英語も不十分な日本人が世界中の学生の中でどれだけリーダーシップがとれるか、人間性を磨くことができるかということも考えてみてほしいと思います。そして、世界中の学生と最高に楽しい時間を過ごし、友情に支えられたネットワークを築くことは素晴らしいことだと思います。Why Kelloggで書いたとおり、この点でKelloggは素晴らしい学校です。