授業紹介:Entrepreneurship Through Acquisition

Class of 2020(1年生)のMです。冬学期に履修した選択科目の中で面白かった授業の紹介です。クラス名にもなっているEntrepreneurship Through Acquisition(通称ETA)は、サーチファンドとも呼ばれ、米国ではMBA後のキャリアパスの1つとして認知されています。米国を中心に普及しながらも、北米や中南米及びヨーロッパには広がってきているようです。しかし私自身、日本にいたときはサーチファンドについて聞いたことがありませんでしたので、まずはその説明から始めたいと思います。

【サーチファンドとは?】
主にMBA卒業生が、通常1~2名で卒業時に自己資金及び投資家から募った資金を用いて投資ファンドを立ち上げます。当該卒業生は、この数百万円から数千万円の資金と自身のネットワーク及びブローカーを活用することによって、約半年から2年の間に、星の数ほどある中小企業の中から自分のクライテリアに合致するターゲット企業を「サーチ」し、実際にオーナーと買収交渉を行います。その後、買収資金を投資家からの追加出資及び銀行借入で賄いレバレッジをかけて買収し、経営者として約5年から10年間その会社を経営します。最終的には、当該企業を他社に売却し、投資家のリターンを確定させ、残りを自身の取り分とするというのがサーチファンドのモデルです。ただしこれは理想的な場合で、買収先を見つけられなかった、買収交渉がうまくいかなかった、買収したが企業価値向上がうまくいかなかった、エグジット先との売却交渉がうまくいかなかった、など各フェーズにおいてうまくいかないケースも多々あります。サーチファンドの概要については、Stanford GSBから発行されているこちらのレポートが無料でダウンロードできますので、興味がある方はご参照ください。

【授業概要】
授業は0.5単位のため、冬学期の後半5週間(1コマ3時間×5コマ)にわたって行われます。サーチファンドの概要から始まり、サーチファンドの各フェーズ(買収先のサーチ、買収交渉、買収後の経営、企業価値向上、売却)のポイントを全5回にわたって学んでいきます。最終課題においては、サーチファンドを立ち上げたという設定で、与えられた3つの候補から企業を選び、4-5人のグループで投資家向けにプレゼン資料を作成します。なぜ選んだ企業が投資対象として良いのか(インベストメント・ハイライト)、どのような成長戦略で企業価値を向上していくのか(事業計画)、どの程度投資家から資金が必要で、どの程度のリターンを見込むのか(リターン分析)、などを網羅的にまとめます。

【良かった点】
・ゲストスピーカー
なんといってもこの授業のウリは、毎回のゲストスピーカーです。サーチファンドを立ち上げたKelloggの卒業生が来たり、事前課題として与えられたケースの主人公が実際に登場したりします。実体験に基づいて苦労話や武勇伝を話すため、聞いているこちらもワクワクします。こういう文脈では成功者のストーリーに偏りがちですが、想定通りにいかなかったケースの主人公が失敗談や教訓を語る場面もあり、非常に示唆に富んだクラスでした。

・教授
Alex Schneider教授自身も二足の草鞋を履いており、Kelloggで教鞭を執る傍ら、実際に自身でファンドを立ち上げ、中小企業を買収し経営しています。実体験に裏付けられた講義は、机上の空論や教科書の枠にとどまらない面白さと説得力があります。

・生徒の多様な意見
毎回の事前課題の多くは、ケースや資料に関していくつかの質問と選択式の回答が与えられ、それぞれ自分の回答について説明するというものでした。例えば、「買収先のサーチ」に関する課題では、5~6社のティーザー(企業概要資料)が与えられ、自分ならどの企業を買収をしたいかを選び、それはなぜかについて理由を述べます。ある企業の「買収後のリスク要因」に関しては、ミドルマネジメントのリーダーシップ、特定販売先への依存、原価上昇、内部のレポーティングシステム、のどれが最重要か、それはなぜか、といった具合です。そして授業中に、何名の学生がそれぞれの選択肢を選んだのかというデータを教授が示し、それぞれの選択肢についてそれを選んだ学生がコールドコールされて説明します。必ずしも絶対的な答えがあるわけではないため、自分とは違った様々な意見や議論が展開され、新たな学びや発見につながります。

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