Facebookの生みの親Divya Narendra氏とのインタビュー

ここ最近、日本でもFacebookが盛んに使われているようだ。留学した当初はKellogg生の友達がFacebook friendsの大部分を占めていたが、最近は日本の友人から毎日のようにFriend Requestが来る。昨年に全米で大ヒットし、日本でも年初に公開されたFacebookの誕生秘話が満載の映画「ソーシャル・ネットワーク」の影響もあるのだろう。
実は、あの映画にも出てきたFacebookの生みの親の1人であり、ビジネスアイデアを盗用されたとしてFacebookの経営者を訴えたインド系アメリカ人のDivya Narendra氏が、KelloggのJD-MBAプログラムに在籍している。Kelloggにも大富豪の息子や社長令嬢などは数多くいるが、今やInternetの世界で飛ぶ鳥を落とす勢いであるFacebookのような会社を、実際に訴えた経験を持つ人はそんなにはいない。JD-MBAとは、3年間でLaw schoolとMBAのdegreeが一緒に取れてしまうプログラムである。今回インタビューワーの1人のクラスメイトでもある彼に「話を聞かせて欲しい」と頼んだところ2つ返事で引き受けてくれた。今後、Social Networkの歴史に名を残すことであろう彼とのインタビューをこのブログでシェアしたい。

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(写真左側:本物のDivya, 写真右側:映画に出てくるDivya)

Kelloggに至るまで
まずは簡単に彼のバックグラウンドを説明したい。DivyaはBronx, NYに生まれる。大学に入るまで、将来特に何かをしたいという具体的な目標はなかったそうだが、  大学はハーバードの数学科に進学。ビジネス全般に興味があり、Business opportunityとしてSocial Networkに目を付ける。Winklevoss兄弟と共に、ハーバード大学内での共通のe-mail addressドメインを利用したConnectUというSocial Networkサイトを立ち上げ、大きな反響を呼ぶ。更にこのサイトを進化させるために、プログラミングに定評があったMark Zuckerberg氏に協力を依頼する。ところが、結果的には、このビジネスアイデアはZuckerberg氏によってFacebookという形で使われてしまった。学長にも直訴したが掛け合ってくれず、最終的には訴訟を起こすに至る。彼はハーバード大学を卒業後、クレディ・スイス証券のM&A部門に2年間務めた後、ヘッジファンドに転職。ただ、そこでリーマンブラザーズの破たんに始まる金融危機にぶつかり、新たなキャリアの道を模索する過程の中で、2009年にKelloggのJD-MBAプログラムに進学した。

なぜKelloggを選んだか
彼がKelloggを選んだ理由としてまず最初に挙げたのはKelloggのコミュニティの素晴らしさである。この部分では、彼が学部時代に通っていたハーバード大学もかなわないとのこと。以下は彼からのコメントの要約である。
・Kelloggの学生はsmartかつcompetitiveであるにも関わらず、傲慢さが全くない。その結果、お互いが気軽に色々なことを相談できるし、話しかけやすく、”accessible down to earth”である。そして何より本当に”nice”な奴が多い
・ほとんどの学生はKelloggがあるEvanstonという小さな街に住んでおり、いつでも誰にでも会える環境である。その結果、学生同士が非常に仲が良く、交流が深い
・Kelloggのアルムナイも学生に対して非常にsupportiveでコンタクトがしやすい。自分が考えているビジネスアイデアに対して色々なアドバイスを与えてくれる
特に1点目のKelloggの学生の雰囲気に関してのコメントは、スーパーエリートの道を歩んできた彼の言葉だからこそ重みがある。KelloggのAdmissionsの学生の選定、及びKelloggが醸成するカルチャーのたまものである。
次に彼が挙げたのが、Kelloggのカリキュラムのレベルの高さである。彼は、Finance Backgroundであることから、Kelloggのおいても、Finance関係の授業を多くとっているそうなのだが、授業で教わる内容・及び教授の質は期待を遥かに上回るものであったとのこと。Finance業界にいた彼でも日々、新しい学びの連続だそうだ。また、その他の教科では、コアコースのGad Allon教授のオペレーションの授業には感動したとのこと。ハーバード大学の数学科・投資銀行・投資ファンドという定量的なアプローチを重んじるキャリアを経てきた彼にとっても、Kelloggの定量的な授業からはたくさんの学びを得ていることがうかがえる。
3つ目に挙げたのが、KelloggそしてNorthwestern大学のEntrepreneurに対するサポートである。実はDivyaはKelloggに通う傍ら、自分でSumZeroという新しいビジネスを始めている。その過程でKellogg及びNorthwestern大学の様々なリソースが大変役に立っており、その結果、ビジネスは軌道に乗りつつあるようだ。彼が挙げたサポート体制の具体的内容は以下の通り:
・Kellogg Incubator Program:事務所スペースと人的コネクションの提供をはじめとした、Entrepreneurに対する各種サポート
・KEO(Kellogg Entre Organization):他のKelloggのEntrepreneurとの意見交換、既に成功を収めているEntrepreneurからのメンターシップ
・New Venture Formation Class:ビジネスアイデアを持った学生がグループを組み、そのアイデアを具体的な計画書に落とし込んで、実際のEntrepreneursやVenture Capitalistsにプレゼンをするクラス。このクラスから実際にEntrepreneurが生まれた例がいくつもある
・Angel Investors at Northwestern Law School:実際に十万ドル規模の資金調達を最近受けることができた
・Connection of Northwestern Law School with prominent lawyers :顧問弁護士を探すにあたって、教授陣の優秀な弁護士ネットワークは大変役立った
一流のGeneral Manager, Top Executiveを養成するというイメージが強いKelloggだが、特に最近はEntrepreneurの育成にも力を入れていることがわかる。
以上の3点に加えて、彼の中でKelloggを選ぶ重要な要因となったのは、KelloggのJD-MBAプログラムの素晴らしさである。そもそも彼が法律に強い関心を持った理由は、例のFacebookのアイデアを盗用されてしまったことである。この事件をきっかけに、自分のビジネスを守るためには法律の知識があることが不可欠だと思い知ったそうだ。JD-MBAプログラムでは、Law degreeに3年、MBAに2年の計5年間かかるところが3年間で済む。また、KelloggのJD-MBAプログラムは全米でも特に歴史が古いため(1999年に開始)、既に多数のアルムナイが世の中で活躍していて、彼らとのコネクションを生かせる機会が豊富にある。カリキュラムの質も非常に高いとのこと。

今後のキャリア展望
上述した通り、Divyaは既に新しいビジネスを始めており、しばらくはそのビジネスに集中したいとのこと。折角なので、彼には、このビジネスの内容を可能な範囲でシェアしてもらった。
会社の名前はSumZero。機関投資家をはじめとするプロの投資家が、投資のアイデアの意見を交換するためのウェブサイトを運営している。ヘッジファンド勤務中に、WikipediaサイトにInspireされて思いついたアイディアだそうだ。素人の投資家は参加できないため、交換される情報の質は非常に高く、それが他社のサービスとの差別化要因になる。会員数は既に5,200名を超えた。そこには、KKR, Fidelityといった超一流の投資会社や、日本の投資家も含まれる。収益は、現在のところはバナー広告が中心だが、今後は、様々な収益スキームを検討する予定。これまでにAngel investorsから約30万ドルの資金調達を行い、今年の夏には更に数百万ドルの資金を調達する計画。彼の予定としては、来年の一月くらいには、このビジネスを本格的に軌道に乗せ、自分の時間のほとんどをそちらに費やしたいとのこと。そのために、今年の夏休みにできる限りのKelloggとLaw schoolの単位を取得する予定である。
ショートタームでのキャリアはSumZeroであるが、ロングタームのキャリアについてはまだ決めていないとのこと。SumZeroをやり続けるか、そのビジネスを他に売って、ヘッジファンド、PEファンド、ベンチャーキャピタル等に移るか、具体的なことは今後考えていくそうだ。

ところで、Facebookのアカウントは持っているか
もちろん持っており、2千名超のFriendsがいる。彼の見立てでは、FacebookはPrivacyの問題さえ解決していけば、今後も成長していくだろうとのこと。SumZeroとFacebookは全く違う土俵にいるビジネスなので、特にFacebookに対してライバル意識等は持っていないそうだ。

MBAを志す日本人へのメッセージ
Divyaより:
Kelloggは起業家を目指す人にも素晴らしい学校です。Kellogg及びNorthwestern大学のサポート体制はもちろんのこと、Chicagoという場所も魅力的です。ここ最近は、Grouponを初めとする多くのStart-up businessが生まれています。それに伴い、新しいビジネスを支援する投資家も集まってきています。あと、日本の投資家の皆さん、SumZeroをよろしくお願いします。現在、日本人の会員数は100人程度なので、更に多くの会員を募集しています。

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