このブログをご覧の皆様は、Master of Business Administrationの学位取得を目指しておられる方が殆どかと思います。
KelloggのMMMプログラム(トリプルエムプログラム)では、MBAの学位に加えて、Master of Science in Design Innovationという理系の学位を取得できます。

本記事では、MMMの概要と、私(2年生、Mina)から見た、MMMの魅力をお伝えしようと思います。

■学位
MMMでは、Northwestern University KelloggからMBAを、同じくNorthwestern University McCormick Engineering School Segal Design InstituteからMSDIを取得します。

■卒業までの期間
2年制のMBAプログラムが9月から翌々年の6月までの21か月間で卒業するのに対して、MMMプログラムは6月から翌々年の6月までの丸24か月間で卒業します。

■人数
2年制MBAが500人程度、MMMは70人弱です。(一クラスのみ)

■出願条件
MMMプログラムに出願するにあたっては、2年制MBAへの出願条件と同じと思っていただいて問題ないかと思います。理系の学位ではあるものの、理系的バックグラウンドは全く求められません。(私自身、文系学士、コンサルタントです)

■日本人の実績
私の知る限り、2018年入学で1名、2019年入学2名、2020年入学0名、です。

…で、何を学ぶのか。簡単に言ってしまえば、MBAが物事の意思決定など考えを「収束」していくスキルを身に着けるものであるのに対して、MMMではアイディエーションやイノベーションなど考えを「発散」させるスキルを身に着けることができます。MBAが左脳的、MMMは右脳的。


その他のキーワードとしては、デザインシンキング、カスタマーエクスペリエンス、プロダクトマネジメント、プロトタイピング、ストーリーテリング、ビジュアライゼーションなどが挙げられます。

MMMに特徴的な授業をいくつかご紹介します。

RDB(Research Design Build)
パートナー企業と、デザインシンキングの一連のプロセスを体験します。座学もありますが、基本的にはプロジェクトベースの授業です。
デザインシンキングにおけるユーザーリサーチとは?インサイトの導出とは?プトロとタイピング&テストとは?をステップごとに追います。
2019年入学者のパートナーは、Hilton Hotelsと自動車のHondaでした。

BIL(Business Innovation Lab)
上述のRDBの発展版です。RDBが一年生の始めに行われる、よりInstructionalな授業であるに対して、BILは2年生の後半に行われる、より自立したプロジェクトです。こちらも、様々なパートナー企業との協同授業です。

Design Research
RDBとBILがデザインシンキングの一連のプロセスを学ぶのに対して、こちらではResearchにフォーカスしたスキルを学びます。私の場合は、アメリカの義務教育におけるLGBTQIA+の体験がどのようなものであるか、を理解することをゴールとしたプロジェクトに携わりました。

AAA(Applied Advanced Analytics)
アイディエーションの基礎はリサーチと分析。ということで、AAAでは様々なデータ分析手法を学びます。基本はエクセルです。Decision Tree、Solver、などを使います


DDD (Digital Design and Development)
MMM生たるもの、簡単なプロトタイプぐらいできないといけません。紙や木で作るモックアップだけでなく、今やデジタルのプロトタイプも重要です。DDD(トリプルディー)では、Webベースのアプリの作り方を学びます。SQL, HTML/CSSなどのコーディングを学び、実際にGitHub上でプログラムを書きます。

Whole Brain Communication
アイデアを伝える一つの手段としては、プロトタイピング。それに加えて、資料でプレゼンテーションをする機会も多いです。そこで、Whole Brain Communicationではビジュアライゼーション、プレゼンテーション資料のデザインなどについて学びます。配布を前提とした(文字の多い)資料ではなく、ビジュアルをたっぷり使った、印象に残るプレゼンテーション資料作りを目指します。データビジュアライゼーションの一環として、Tableauの使い方も学びます。

Innovation in Context
せっかく良いアイデアができたら、それを守らないといけません。Innovation in Contextでは、特許など知的財産、無形のものの価値について学びます。

Mindful Product Management
最近のMBA生には、プロダクトマネージャーを目指す人が増えています。MMM生の中でもその傾向は強く、授業の一環にも取り入れられています。マインドフルネスをはじめとした、プロダクトマネージャーとしてのマインドセットの他、デザインスプリント・スクラムなどのスキルセットについても学びます。2019年、2020年はユニセフがプロジェクトパートナーでした。

上記授業に加えて、いくつかの必修や選択科目があります。私の場合は選択科目としてCPG Studioという授業を履修しました。P&Gをプロジェクトパートナーとして、新しい消費財の体験をデザインするものです。CPG Studioでは、MMM生だけでなく、マーケティングの大学院生やエンジニアリングスクールの学生とチームを組みます。(契約上、プロジェクトの詳細は、ここに書けないのが残念…)

MMM生はユニークなスキルセットを身に着けられるだけでなく、何と言ってもそのコミュニティが魅力的です。

MMMプログラムは、2年制MBAが入学するタイミングよりも1学期間、授業が早く始まります。そのため、まずはMMM生としてのコミュニティーが早くに出来上がります。(MMM生は、一貫校の高校・大学における内部性のような位置づけ、というと、分かる人には分かるでしょうか)

2年制プログラムの学生が入学してからは、MMM生も通常のクラスに割り当てられます。私の所属するクラスには約10名のMMM生がいます。残り約60名程度は、大半が2年制のMBA、数名JD-MBA、MD-MBAなど他のDual Degree Programの学生です。(1年制のMBAは、1年制のMBAのみでクラスが構成されます)

授業は、MMMの学生だけと受けるものもあれば、この混成クラスのクラスメイトと受けるものもありますので、実質2つのコミュニティに属することになります。MMMというタイトなネットワークだけでなく、2つの幅広いコミュニティを得られることは、大変大きなメリットです。アルムナイも、Kelloggのアルムナイの他、MMMとしてのアルムナイネットワークが構築されています。

なかなか文字だけでは魅力をお伝えしづらいのですが、MMMの卒業生は米国だけでもごまんといるMBA生の中でも、人材として差別化しやすくなっています。
出願に際しても、例年、2年制プログラムの出願書類に「Why MMM」という趣旨のエッセイが一つ追加されるだけなので、MMMへの出願も是非検討してみてください。

※最新情報は公式ウェブサイトをご確認ください。

RDBにおけるボード(COVID-19前)
Mindful Product Managementにおけるボード(COVID-19状況下。Muralというデジタルツールを使いました)

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