こんにちは、Kellogg 2年生のKです。皆さんがKelloggで履修したい授業を聞かれたら、「Marketing
Strategy」「Personal Leadership and Insights」といった名物授業をあげる方が多いと思います。こ
れらの名物授業については豊富にレビューがあると思うので、今回は(学費を活かすべく)取得可能
上限まで授業をとった私が「マイナーだけど面白い」授業を紹介したいと思います。

Public Economics for Business Leaders: State and Local Policy

アメリカの公共セクターが直面する様々な課題について、政府・州・市がどのような政策を実行してい
るかについて学ぶ授業です。MBAとしては珍しく公共政策を扱うものであり、そもそも興味のある生
徒が少ないからか、履修人数は20人とかなり少人数。純ジャパの私は教授から「かなりUS Centric
だけど大丈夫?」と心配されましたが、アメリカのコアを学ぶいい機会!と考え思い切って履修しまし
た(蓋を開けたら20人中international studentは私含め3人)。

授業のトピックとしては、人種の分断が公共政策に与える影響を扱うことが多いです。例えばアメリカ
の各都市は人種ごとに住む地域が分かれており、シカゴも黒人割合の高いダウンタウンが低所得エ
リアとなっている一方、高所得者の多い白人は郊外に住んでいます。学校教育の財源は固定資産
税などの地方税が財源となっているため、税収入の少ない黒人エリアは学校教育の質が低く、良い
教育を受けられない黒人が貧困に陥り、さらに税収入が少なくなる…といった悪循環をどのように断
ち切るか?一律の教育水準を保証すべく中央政府が介入を強めた場合、州の独立性を損なうことに
なり、憲法違反になるのではないか?…といったトピックについてディベートをするので、日常会話で
はなかなか聞けない「アメリカの本音」を垣間見ることができて面白いです。

また授業の特徴としてはMBAの授業としては比較的、研究結果を参照する機会が多いといえます。
例えばこの間は、全家庭に教育用バウチャーを配布するとかえって家庭の教育支出は減る現象に
ついて証明をしたりしました。研究を通してこういった一見直感に反するような現象も学ぶことができ
るのは面白いですね。

ちなみにこの授業はアメリカに関する常識を知らないとついていけないことが多々あります。例えば「
inner cityでは貧困が進んでおり〜」という説明を聞いた時、日本の都心部をイメージしていた私は、
途中でアメリカの一部では都心部の方が衰退が進んでいることを知りました(インナーシティ問題)。
またチャータースクールという、財源は公費でありながらNGOが運営する新しい学校の形があること
も知りませんでした。学力が低い子供達をターゲットにした学校、個別教育を取り入れている学校、
など保護者の多様な要望に答えるために作られたそうです。知らなかったとしても後で調べるなり聞
けば良いので問題ありません。

ゲストスピーカーでシカゴ市前市長をお迎えした際、彼が「MBA生こそPublic Policyを学ぶべきだ」と
おっしゃっていたのが印象的でした。MBAでこそ、今まで学んだことがないPublic Policyを学ぶいい
機会なのではないでしょうか?また純ジャパの方にこそ、「アメリカのコア」を学ぶべく、ぜひお勧めし
たい授業です。

Technology and Innovation Strategy

テックのイメージが薄いKelloggですが、実は最新のテック企業のケースを扱う授業があります。どの
くらいの最新レベルかというと、

● MicrosoftがOpenAIを買収したのはなぜか?(※ChatGPTの公開は2022年11月、このケー
スを扱ったのは2023年2月)
● GoogleがGitHub上でコードを公開するのはなぜか?
● Dropboxがfirst mover avantageを享受するためにはどうすべきだったのか?First-moverに
旨みがない業界の特徴とは?
● Apple Storeにメモ帳やアラームといったアプリがある一方、iPhoneにそれらのアプリがデ
フォルトで搭載されているのはなぜか?
● Amazonがfree 2-day shippingとvideo streamingを抱き合わせで提供するのはなぜか?
● Atari(ゲーム機メーカー)が誰でも開発したゲームをプラットフォーム上で公開できるようにし
た一方、任天堂はゲームデベロッパーの数を制限したのはなぜか?

などなど、大まかに数ヶ月前〜10年前くらいのテック企業の動きについて分析する授業となっていま
す。よく考えたら確かに何でだろう?というテーマが多く、同級生や教授からの意見で「あ〜なるほ
ど〜」といったアハ体験をすることができました。

ちなみに私はこの授業について、Evening&Weekend(KelloggのパートタイムMBA)の生徒が通うシ
カゴ中心部のキャンパスで受講しました。当然ほぼEvening&Weekendの生徒ばかりだったのです
が、普段出会えないこれらの生徒と交流できてとてもよかったです。パートタイムの生徒はフルタイム
と比較して年齢層が高く、純粋に学問を学びにきた人ばかりなので、授業中のディスカッションがより
実体験に基づいており、非常に有意義でした。

フルタイム生向けのエバンストンの授業だけでなく、こういったパートタイム生徒向けの授業もとって
みるとまた新しい発見があると思います。シカゴ中心部で開講される授業もお見逃しなく!
他にも面白い授業がたくさんあるので、気が向いたらまた紹介したいと思います。Kelloggには名物
授業だけではなく、ややマイナーな授業でも超面白いものがたくさんあるので、受験生の皆さんはぜ
ひチェックしてみてください!以上Kによる授業レビューでした。

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