今回は金融系のピッチコンペティションについてご紹介したいと思います。金融志望のMBA生にとって、実務さながらの分析・提案を行うこれらのコンペティションは、特にキャリアチェンジを目指す学生にとって大きな成長の機会となっています。また、キャンパス内の大ホールでプロの投資家を前にプレゼンできるため、MBAらしいダイナミズムを体感できる場としても非常に魅力的です。

Kellogg PEVC investment thesis competitionの様子
金融Pitch Competitionの種類
金融系のPitch Competition は基本的に自分が選んだ銘柄(または投資案件)について投資テーマ・投資仮説(Investment Thesis)・バリュエーション・リスクを総合的にプレゼンする形式で、大きく「主催団体」と「投資対象」の2軸による種類があります。
- 主催団体による分類
① Kellogg学内で行われるコンペ
Kellogg生のみが参加できる、いわば“内部向け”のピッチコンペで以下の2タイプが主流です。
・PEVC Club等の各クラブ主催のコンペ
・Kellogg × 企業(資産運用会社 / PEファンド)共同開催のコンペ
② 各MBAスクールが主催する全MBA校向けコンペ
Columbia、Chicago Booth、MIT、UCLAなど、各校が主催して世界中のMBAに開かれた大規模コンペです。テーマは株式ピッチ、クレジットがメインです。
③企業主催のコンペ
あまり多くはありませんが、企業が単体でコンペを開催しているケースも見受けられます。 - 対象アセット(投資対象)による分類
①上場株 ②クレジット ③PE ④VC ⑤インパクト投資
以上5つがメインとなります。
Fall termは金融ピッチコンペの佳境
Kelloggのfall termは9月に始まりますが、驚いたのは金融系コンペのスケジュール感でした。入学から間もない9月下旬〜10月半ばにはすでにチームが結成され、そこから11月中旬までがコンペの最盛期となります。中には2〜3週間という短期間で一次審査から本選まで進むものもあり、私が参加したPE/VCやストックピッチのコンペもまさにこの期間に集中していました。また、中間・期末試験、リクルーティング活動と並立して限られた時間の中で資料作成や分析を進める必要があり、なかなかハードなスケジュールとなります。
チームメンバーのコミットメントが全て
コンペの準備には相応の作業が求められます。対象企業の財務分析、業界調査、マクロ動向の整理に加え、スライド構成をどうするか、論点をどこに置くかなど、チームで議論して決めるべきことは多岐にわたります。MBAでは多様なバックグラウンドを持つ学生が集まるため、金融に強いメンバーがいれば心強い一方で、互いの強みを生かしながら進めないとうまく形になりません。 特に他の授業や就活イベントと重なる時期でもあるため、メンバー全員が高いコミットメントで臨まないと一部の人に負荷が偏るリスクもあります。私のチームも例外ではなく、メンバーの授業・課題・就活の状況は常に異なるため、ミーティング時間を合わせるだけでも一苦労でした。最終的には深夜までの作業となり、まさに実務さながらのチームワークが求められました。
Kelloggによる遠征費用の一部負担
他校との合同コンペは多くの場合本選が対面で開催されます。場所もニューヨーク、ロサンゼルス、ノースカロライナなどさまざまで移動費・宿泊費の一部は学校が補助してくれます。 Kelloggは学生の挑戦を非常に歓迎しており、こうした支援体制も大きな魅力の一つです。金銭的な負担が軽減されることで、より多くの学生が積極的にコンペへ挑戦できる環境が整っています。
“ファイナンススクール”は参加することすら難しい
他校の学生と話をしていて驚いたのは、ファイナンスで名高いビジネススクールでは金融志望者が多く、学内の倍率が非常に厳しいため、コンペに出場するだけでも高いハードルがあるということでした。一方ファイナンス色の強くないKelloggではコンペ出場の倍率はそこまで高くなく、実際私は合計5つのコンペに参加することができました。
金融就活におけるコンペ参加のメリット
アメリカのMBAでの就活では、オンキャンパスリクルーティングに参加する金融企業の殆どがIBです。インベストメントマネジメントやPE/VCはオフキャンパスでの応募が一般的であり、面接まで進むきっかけづくりが重要になります。そこで強力な武器となるのが、金融ピッチコンペでのネットワーキングです。多くのコンペでは、現役ファンドマネージャーや投資プロフェッショナルがジャッジとして来場し、さらに公式のネットワーキングイベントが設けられているケースも少なくありません。私自身、コンペ後に名刺交換した方を通じて実際に面接まで進む機会を得ることができました。加えてこれらの企業では面接においてもストックピッチが求められますのでコンペで成果物を作っておくことは面接への準備にもなります。つまり、コンペは「実践経験」+「ネットワーキング」+「成果物」の三つが同時に得られる、非常に効率的なキャリア戦略になっています。
まとめ:コンペ参加の負担は相応に大きいが、知見を深めながら就活ができる機会
MBAの金融ピッチコンペはスケジュールの厳しさや作業量の多さもあり、決して楽な道ではありません。しかし、挑戦すれば必ず得るものがあり、就活面でもキャリア形成面でも大きな武器になります。
金融に興味がある方、投資を実践的に学びたい方、グローバルチームで成果物を作りたい方には、ぜひ挑戦をおすすめしたいです。