こんにちは、Kellogg class of 2026 の歌代(Utashiro)です。
2025年春、私は Global Initiatives in Management(通称 GIM)の South Africa クラス
“Innovations + Developments in Healthcare and Financial Services” に参加しました。
「南アフリカには行ってみたい。でも1人旅はさすがに怖い…」
そんな私にとって、「クラス全員で行く」「安全対策がしっかりしている」GIM は、南アフリカに踏み出す唯一現実的な選択肢でした。結果として、人生で一番と言っていいほど濃い“旅行×授業×ゼミ”の体験になりました。
この記事では、
GIMってどんなプログラム?
私が参加した South Africa GIM の内容
グループリサーチからの学び(金融包摂と“習慣・信頼・デザイン”)
Country immersion(治安・格差・病院訪問・サファリ)
の順でご紹介します。
- GIMってどんなプログラム?
GIM(Global Initiatives in Management)は、 Kellogg が1989年から続けている「授業+現地渡航」がセットになった名物プログラムです。
公式にはこんな位置づけです:(Kellogg School of Management)
冬学期に開講される1単位の選択科目
Evanstonでの授業(約18時間)で、担当国・テーマの歴史・ビジネス・文化を学ぶ
春休みの9日間を現地で過ごし、企業訪問・政府機関・NPO・現地でのグループ調査を行う
Full-Time / Evening & Weekend / Executive MBA の学生が一緒に受講できる
クラスでは、4〜6人の小グループに分かれてリサーチテーマを選び、 現地でインタビュー先をアポ取り → 渡航中にヒアリング → 帰国後に最終レポート、というミニ・フィールドリサーチのような流れになります。 - South Africa GIM「Healthcare & Financial Services」の概要
テーマ:医療と金融サービスの「実験場」としての南アフリカ
私が参加したのは、
Innovations + Developments in Healthcare and Financial Services: South Africa 2025
というクラスです。
南アフリカは、世界初の心臓移植、行動変容をベースにした“shared-value”型保険(Discovery / Vitality→実際に企業訪問しました)など、多くの医療・保険・金融の「世界初」を生み出してきた国です。
クラスでは、「なぜここまでイノベーションが生まれるのか?」「不平等や歴史的背景とどう向き合っているのか?」という視点で議論しました。
メンバー構成:3プログラム混成チーム
クラスは、
Full-Time MBA
Evening & Weekend
Executive MBA
から集まった 31名 で構成されていました。国籍も、アメリカ、日本、ブラジル、インド、韓国、ナイジェリアなど本当に多様。
普段キャンパスが違ってなかなか会えない Evening & Weekend / Exec の同級生と、 9日間ずっと同じバス・同じホテルで過ごすので、プログラム横断のネットワークづくりという意味でもGIMは貴重な機会でした。
旅程のイメージ
日程はざっくりこんな感じでした:
Johannesburg(ヨハネスブルグ):3日間
Pilanesberg(ピラネスバーグ):2日間(サファリ)
Cape Town(ケープタウン):4日間
毎日、
午前:企業・病院・政府機関などへのプラナリー訪問
午後:グループごとのリサーチ・ミーティング
夕方〜夜:文化体験(タウンシップツアー、博物館、ワイナリーなど)や自由時間
という、かなりタイトだけど充実したスケジュールでした。
訪問先の一部
印象に残っている代表的な訪問先を挙げると:
BrightRock(ライフ保険) 「ニーズに合わせて保障を変えていける」needs-matched 型のユニークな商品を展開。
Discovery & Vitality Global 行動データを活用して「運動する・健康診断に行く」などの行動を促し、 保険料・リワードに反映する shared-value モデルの先駆者。
Chris Hani Baragwanath Hospital(公立病院) 世界最大級の病院の一つで、ジョハネスブルグ南西部のソウェト地区を中心に 膨大な患者を受け入れる公立の基幹病院。
Medscheme / ASI / Medscheme / Agility などの医療保険・金融サービス企業 行動変容を前提にした保険、デジタル・ヘルス、医療IT、企業向けウェルビーイングなど、 「健康×金融」の新しい形を見せてくれました。
Mothers2Mothers(ヘルスケアNPO) HIV母子感染の予防など、コミュニティに根ざしたサポートを行うNPO。
文化面では、
アパルトヘイト博物館
Soweto(ソウェト)タウンシップツアー & Mandela House
PilanesbergでのサファリとBomaディナー
Cape Townの Bo-Kaap、Kirstenbosch Botanical Garden、Table Mountain など
を訪れ、Immersiveな旅になりました。 - グループリサーチ:金融包摂は“インフラ”だけの問題じゃない
私たちのチームは、南アフリカの「金融包摂」、なかでも貯蓄行動にフォーカスしてリサーチしました。南アフリカでは口座保有率は高いのに、実際に貯蓄として口座が使われているケースは多くない一方、今も “stokvel” と呼ばれる共同貯蓄グループが根強く支持されています。
インタビューを重ねて見えてきたのは、
課題は「アクセス不足」ではなく、「行動・信頼・制度設計」のギャップにある
という点でした。インフラやモバイルバンキングは整っていても、高い手数料や過去の差別・債務回収の経験から、「銀行は味方ではない」という感覚が残っている。一方、stokvel には、顔が見える関係性や、良い意味での“相互監視”が組み込まれ、習慣と信頼ごとデザインされた仕組みになっていました。
その対比を象徴していたのが Capitec Bank です。シンプルな料金体系とローカル店舗、顧客の声を起点にした商品設計によって、「怖い存在」だった銀行を「相談できるパートナー」に変えつつある。一方で、伝統的な大手4行は「アクセスはあるけれど、生活者の日常からは遠い」という印象も聞かれました。
このプロジェクトを通じて学んだのは、
金融包摂は、“上から配るサービス”ではなく、人々の制約・モチベーション・既存の文化的な仕組み(stokvel など)から一緒に組み立てていくプロセスだということ。
Kelloggで学ぶ “behavioral design” や “customer-centricity” が、南アフリカの金融包摂という具体的な現場の中で、抽象論ではない「生きたコンセプト」として腑に落ちた経験でした。 - Country immersion:格差・治安・病院・サファリ
世界有数の格差と犯罪率
南アフリカは、世界で最も所得格差が大きい国の一つと言われています(Gini係数0.67前後)。(World Bank) また、殺人などの暴力犯罪の発生率も世界的に見て非常に高い水準です。(nadel.ethz.ch)
実際、ヨハネスブルグでは、
ダウンタウンのビルや住宅が高い塀と有刺鉄線・スパイクで囲われている
ナイトクラブのガードに「Uberが来るまでは絶対に道路に立つな」と言われる
到着した日に、すでに市内で数件の殺人事件が発生していたと聞く
など、「日本とは真逆の前提」で生活が回っていることを肌で感じました。
日本でなら「酔いつぶれても誰かが介抱してくれる」くらいの感覚で生きている私にとって、外にいるだけで気を張る必要がある環境は、かなりショッキングでした。
それでも行けたのは、「クラスで行く安心感」があったから
一方で、GIMとして参加したことで、
常に複数人で行動することが徹底されている
旅程はオペレーター(Austral Group)が管理し、 移動は基本的に専用バス+現地ガイド付き
事前のKickoffセッションでも、 「South Africaは米国務省のレベル2。犯罪は多いので、安全対策を最優先で考える」と何度も説明される
などのサポートがあり、「1人でバックパックを背負って行く」のとは全く違う安心感がありました。“行きたいけど、治安が不安…”という方には、まさに GIM というフォーマットがぴったりだと思います。
公立病院で見る“もうひとつの南アフリカ”
Johannesburg では、Chris Hani Baragwanath Hospital という巨大公立病院を訪問しました。
第二次世界大戦中に設立され、今では世界最大級の病院の一つ
交通事故や暴力による外傷、感染症、母子医療など、あらゆるケースが集まる最後の砦
医学生の教育・研究機能も担う、南アフリカの公的医療の象徴的存在
民間の美しいオフィスで shared-value モデルや行動変容の話を聞いた後、 同じ国の中で、公立病院が限られたリソースで膨大な患者を支えている現実を目の当たりにしたことは、 「一つの国に、まるで違う二つの世界が共存している」という感覚を強く残しました。
Soweto タウンシップとアパルトヘイト博物館
Soweto のタウンシップツアーでは、Vilakazi Street や Mandela House を歩き、 アパルトヘイト期の歴史と、その傷跡が今も残るコミュニティをガイドさんと一緒に回りました。
アパルトヘイト博物館では、
入場チケットで「White」「Non-White」にランダムに分けられる入口
当時の法律・プロパガンダ映像・抵抗運動の記録
などを通じ、「制度としての差別」がどれほど徹底されていたのかを体感しました。
その一方で、現在の南アフリカの人たちが
国旗を「多様性と統合」の象徴として掲げ、
日々の仕事の中で「分断を乗り越える」努力を続けていることも、 多くの訪問先で感じることができました。
サファリとケープタウン:もう一つの顔
もちろん、GIMは勉強だけではありません。
Pilanesberg National Park では、早朝5:30に集合して、 サファリカーでライオン・キリン・ゾウなどの野生動物を探しに行きます。
夜は屋外の “Boma” で、たき火を囲みながらのBBQディナー
その後の Cape Town では、
Table Mountain と海に囲まれた圧巻の景色
Bo-Kaap のカラフルな街並み
ペンギンが住む Boulders Beach へのエクスカーション
など、まさに「アフリカ有数の観光地」としての南アフリカを楽しむこともできました。 - 最後に
南アフリカ GIM は、
「世界で最も格差の大きい国の一つ」でありながら、 「行動変容 × ヘルスケア × 金融」というイノベーションの宝庫
という、矛盾と可能性が同時に存在する場所を、ビジネススクールの視点から深く覗き込むプログラムでした。
Going to South Africa in a group was the only viable option for me—safety first. でも今は、「あのクラスメイトたちとだからこそ、あの景色・あの議論・あの空気を共有できてよかった」と心から思っています。
もし GIM を取るか迷っていたら、 ぜひ一度、South Africa も候補に入れてみてください。
(質問などあれば、Kellogg日本人在校生サイトからいつでもご連絡ください!)


CapeTownのBotanical Garden

CapeTownのクルーズ

Pilanesberg National Park

ペンギンのいるBoulders Beach

Table Mountain と海に囲まれた圧巻の景色