Kelloggには1年でMBAを取得できるプログラムがあることを皆さんご存じでしょうか?今回は、MMMプログラムをご紹介した先日のブログに続いて、多種多様なKelloggのプログラムのうち、1YMBAについて2023年6月に卒業したHSがご紹介します。

1Yプログラムの概要

その名の通りMBAを1年で取得できるプログラムです。6月開始、6月卒業の4学期制(夏、秋、冬、春)となっており、6学期間の履修が義務付けられている2YMBAと比較して2/3の学期数で修了できます。

最初の夏学期は大半の授業が必修科目となりますが、秋学期以降の授業は選択科目となり、自分の興味分野に応じて柔軟にカリキュラムを設計することができます。その代わり、2YMBAが必修科目で履修するような授業の多くを入学前に修了しておく必要があります(pre-enrollment courses)。具体的には、Statistics、Economics、Marketingについては、入学前10年以内にB以上の成績で履修済みである必要があります。経済学部卒の私は、StatisticsとEconomicsは要件をクリアしていましたが、Marketingは未履修だったため、入学前にUCLA Extensionで履修しました。また、Operationsも入学前の履修が推奨されていますが、こちらは入学後に必修科目として履修することが可能です。

このように入学前の要件がありますが、基本的には、興味のない必修科目を飛ばして好きな授業を自由に履修でき、早く卒業できるプログラムと言えます。違うプログラムとはいえ、選択科目は他の2Yなどの学生と一緒に履修することになります。

学生の特徴

1Yの学生数は毎年150名程度です。プログラムが短い分、卒業後の進路や興味分野が明確な人が多い印象で、他プログラムより社費派遣の学生もやや多いです。また、留学生比率が高いほか、平均年齢もやや高め(28歳前後)の印象です。

職業バックグラウンドは2Yと似ており、主に戦略コンサル、テック、ファイナンス(投資銀行、PE)、リテール・CPGとなっています。私の感覚では、社費派遣生の多くが戦略コンサル出身者でした。

2YMBAや他のプログラムとの違い

最も大きな違いは夏休みがない分、サマーインターンの機会がないことです。したがって、インターン経験を活用した大きなキャリアチェンジは、プログラム期間が短い分、難しくなります。1Yの学生の多くは、キャリアチェンジというよりキャリアのステップアップを意識した人が多く、入学前と同じ業界での転職や同じ職種(function)での転職をする人が中心となります。地域、業界、職種のすべてを変える場合は、2Yの方が適切かと思います。

もっとも、学期中にインターンをすることは可能です。Kelloggのラボ(Lab)系の授業では大学側が学生をインターン先とマッチングしてくれるものもあるほか、学生が自力でインターン先を見つけて学期中に授業と並行してインターンをする人もいます。私の身近では、Asset Management Labのインターン先のヘッジファンドで卒業後も働いている友人がいます。

また、1Yは4学期しかないため、基本的にはKelloggが提携している他国のMBAへの交換留学はできません。2Yでは、2年目の冬学期などに交換留学する学生が一定数いますが、1学期間丸々使うため、1Yの学生にとっては現実的ではありません。もっとも、私の1Yの知人でもシンガポールに交換留学した人がいるので、全く不可能ではありません。

以上のほかには、特に両プログラム間で大きな違いはありません。1Yは確かにプログラム期間が短いですが、時間の使い方を工夫すれば、2Yと同程度かそれ以上に密度の濃い経験ができるはずです。

私が思う1Yプログラムの魅力

時間が短い分、学生の多くがMBAでの経験を最大限に充実させようという意識が強く、何事にも積極的な人が多い印象です。また、人数規模が150名程度と小さく、MMMプログラムと同様に最初の夏学期は自分達以外にほとんど誰もキャンパスにいない環境となるため、1Y同士の絆は非常に強くなります。実際に、1YのKSA(生徒会)主導で週次のsmall group dinnerが年間を通じて開催されたほか、Kelloggの目玉ソーシャルイベントの一つであるtrolley nightは1Yの企画によって運営されます。このように個人的には、この人間関係の深さが1Yプログラムの最大の魅力と感じており、自分自身も生涯続くであろう友人関係をいくつも築くことができました。また、留学生比率が高いことも居心地の良さにつながるほか、平均年齢がやや高いこともあってmatureな人が多い印象で、授業のグループワークでは頼れる存在となります。

そして、逆説的ではありますが、日本人の少なさも大きなポイントです。残念ながら過去10年強で1Y卒の日本人は私を含めておそらく数名しかいないようですが、逆に言えば、日本を代表する立場を1Y内で独り占めすることができます。幸いに日本に対する関心は文化や食を中心に非常に高く、1Yの友人に日本食をふるまったり、アニメ観賞会を企画したりすると大変喜ばれました。日本人が他にいないため、必然的に他国の学生と交流するしかありません。自然と自分のcomfort zoneから抜け出せる点はとても良かったと感じています。 簡単ではありますが、以上が1Yの概要となります。1Yの魅力はいくらか伝わったでしょうか。皆さんがMBAプログラムを選ぶ際に1Yが選択肢に入るようであれば幸いです。

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